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床暖房について

床暖房はホットカーペットではありません。

2010.08.26

 ここでは、今までの施工現場での実体験から、床暖房に対するありがちな誤解を説明してみたいと思います。

 

 その前に床暖房の快適さについて簡単に説明してみます。寒い時期に床暖房の試運転に行くと、みんなお尻に根が生えたように動かなくなることがあります。「気持ちいいね・・。」

 

 ではなぜ気持ちがいいのか?それは「輻射」という熱の伝わり方にあります。輻射熱とは、空気を媒介せずに直接からだを温める赤外線のことです。陽だまりのような暖かさとよく表現されますが、冬の気温の低い日でも、日光に直接あたると暖かく感じる、あの暖かさです。輻射熱はまず床板や壁などものを温めます。そこから伝わるほんわかした熱が床暖房独特の暖かさの正体です。

 

 このときの部屋の温度分布が特徴的です。床上15センチくらいに暖かい空気の層ができています。25℃~30℃くらいです。しかしそこから上は20℃以下です。普通、空気を暖めるエアコンなどでは20℃を切ると肌寒さを感じますが、床暖房は足元が暖かいので、むしろ上は少し寒いくらいでちょうどいいのです。頭寒足熱とはこのことです。

 

 これはホットカーペットとは違います。ホットカーペットの熱の伝わり方は「伝導」といって、カーペットの発熱体に触れて、その熱が直接伝わってくることを指します。だからホットカーペットは人が乗っている、その上だけが暖かければいいのです。しかし床暖房はそもそも暖かさの伝え方が違うので、本来は床面積の80%以上に敷設したほうがよいといわれています。床下や壁も放熱を防ぐために、断熱されていることが、設置条件として挙げられます。これはどんな床暖房であろうと、その気持ちよさを実感するためには外せない原則です。

 

 しかし私はこれまで何人もの大工さんや設計士からコスト削減のために同じ場所のパネルを減らしてほしい、と言われました。

どこだと思いますか?

それは、キッチンの通路です。

「人が立つ流し台の前にはパネルを入れて欲しいが通路は人が通るだけだから無駄だ」と言うのです。

 これは発想が床暖房ではなく、ホットカーペットです。

 

 つながっている一続きのフロアにパネルを入れない部分を作ると、床上の温度がどうしても低くなります。そうするとパネル上の暖かい空気とパネルのない床上の冷たい空気が対流を起こしてしまい、暖かい空気が床上に留まってくれません。足元の体感温度も下がるので、熱源を過剰運転させてしまい、結果的に燃費も悪くなるということになります。

 

 要するに床暖房は戸で仕切れない空間はワンフロアとして、なるべく隅々までパネルを敷くことが正しい設計なのです。テレビ台もキャスターがついていて、5センチくらい床から浮いていれば、その下にパネルを敷いても問題ありません。

 とにかく床暖房はパネルをたくさん敷いて、なるべく低い温度で運転するというのが基本なのですが、こうしたことはメーカーの講習などを受けないと知らない人も少なくないのです。お客さんは当然そんなこと知りませんから、床暖房とホットカーペットの違いの分からない人に工事を頼んでしまったら、悲劇です。

 

 せっかく高いお金をだしても、不満が残ります。「床暖房って高い割りに、たいしたことないな」と床暖房そのものに幻滅されてしまうと、その方は当然ですが、周囲にも床暖房に対する悪い印象が広がってしまう。これは床暖房そのものが悪いわけではなく、設計・施工の問題なので、とても残念なことです。

 

 もう一つ気になるのが、パネルの敷設面積を減らす言い訳として、「最悪の場合、エアコンもあるし、それを補助暖房に使ってもいいから・・・。」というのがあります。これも仕組みを理解していれば、簡単には言えない言葉です。繰り返しますが、床暖房は輻射熱だから気持ちがいいのであって、空気を暖めるエアコンとの併用は本来の床暖房の良さ(頭寒足熱)を打ち消してしまいます。

以前、床暖房と薪ストーブとエアコンを同じ部屋に施工したお宅がありました。

現場監督が「暖房が三つもあるから、どんな寒い冬でも大丈夫!」とはしゃいでいましたが、その言葉が一番「寒かった」記憶があります。

 

 とはいえ既築のリフォームで床暖房を入れる場合は、断熱性能に限界があるので、パネルをしっかり敷いても、寒く感じる日もあると思います。年に数日しかないそういう最低気温の日にはエアコン併用もやむなしだと思いますが、最初から床暖房単独で熱量が足りないような設計は、ナンセンスです。最近は窓の内側にもう一つ窓を取り付けるインナーサッシが流行っています。床暖房をするのなら、こうした断熱工事は、本来一緒にすることが望ましいと思います。

 

 床暖房の種類はたくさんありますが、どんな工法を選択するにせよ、

①同一空間内では敷設面積を最大にする。

②床、壁、窓をしっかり断熱する。

これが、大原則です。

その上で、メーカーや販売店の営業トークだけでなく、いろいろな工法を学んだり、複数の専門業者に相談されることをオススメします。でも実際に何年も使っている人の声はやっぱり一番参考になりますね。

賢い選択で、快適な床暖房のある生活をお楽しみ下さい。

床暖房はたくさんの種類があります

2010.08.26

 温水床暖房の工事をやっています。

床暖房については、情報が整理されていないというか、一部に誤解が広まっているような気がします。その理由は床暖房について正しく理解していない人がいい加減な情報を元に、販売したり設計しているからだと思います。一部のメーカーの製品については、床暖房と名乗ること自体に疑問を感じています。

 

 ここではこれから新築やリフォームで床暖房を検討している方に読んで欲しい

思います。すでに購入している方の中には、「今さら知らなかったほうがよかった」という内容が含まれているかもしれません。

 

 床暖房と一口に言いますが、その種類は実にたくさんあります。

工法、パネル、配管材料、熱源、それらを組み合わせることによって、さまざまな選択肢がありますが、大きく分けると電気式か温水式にわかれます。

 

 電気で一般的なのはフィルムタイプの薄いシートを床板の下に挟んでそこから床全体に放熱するタイプです。これはイニシャルコスト(最初にかかる設備費)が比較的安い。しかしランニングコスト(光熱費)が高いのがデメリットです。これを選ぶ際には、設置面積が狭く、使用時間が短い場合は、オススメできます。具体的には若い夫婦が平日夜や週末に主にLDKで使う、あるいは機密性の高いマンションのLDKでのみ使う。こういう場合は選択肢として「あり」だと思う。ところがこの電気式を一戸建てのあちこちの部屋につけて、使いたいだけ使うとどうなるか?確実に電気代を見て目を回します。かつてある芸能人がテレビで新居を公開していて、「電気式床暖房を全室に設置したが、電気代が高くて使えない」とこぼしていたのを見ましたが、これはホントに悲劇です。私の知人もせっかくの床暖房ですが、同じ理由で、来客時だけしか使っていないと嘆いていました。他にも電気で変わったものとしては、土中に電線を埋め込んで、それを深夜電力で畜熱させる暖房なんかもあります。

 

 温水式は逆に敷設面積が広く、使用時間が比較的長い場合は、ランニングコストが割安になります。温水を作るための熱源は電気、ガス、石油があります。最近はオール電化住宅に対応するために、ヒートポンプ式(エアコンの暖房作る装置で50度くらいの温水を作る)も人気ですが、私の住む北陸では冬季に灯油で暖房している家庭がまだたくさんあるので、オイルタンクから分岐して石油温水ボイラーを設置するパターンもよく見かけます。

パネルの種類もたくさんあります。私は12ミリか、15ミリの暖房パネルの溝の中に内径7ミリか10ミリの架橋ポリエチレン管を敷設するタイプをよく使っています。銅管が埋め込まれたパネルを接続していくタイプも、かつてはありましたが、金属はどうしても腐食・磨耗しますし、漏水が怖いので最近では見かけなくなりました。温水式は配管の中に入っている水(寒冷地では不凍液)の量を確認したり、定期的な機器のメンテナンス、また交換が必要になります。

 

 また床下のべた基礎のコンクリート中に放熱管(架橋ポリエチレン管)を埋め込んで一階の床下全体を温める方式もあります。このタイプは24時間連続運転が原則になります。一日中、お年寄りがいる場合はいいと思いますが、そうでない場合はムダが多くなることも考えられます。

 

 温水を暖房に利用する場合には、地熱や太陽熱など自然エネルギーを利用することもできます。そうした複合型のシステムも開発されています。

 

 いずれにせよ、床暖房を設置する場合は新築か既築か、家の構造(木造、鉄骨、コンクリートなど)、また敷設面積、使用時間、家族構成などを考慮して選定することが、大切だと思います。また工法や熱源によって、イニシャルコスト、ランニングコストもずいぶん違いますので、各ご家庭に最適な床暖房を選んでいただきたいと思います。

 

 床暖房といっても、たくさんの種類があるということが、ご理解いただけたでしょうか?しかし全ての工務店や設計事務所がこうした情報を知っているわけではありませんし、特色の違いを説明してくれるわけではありません。

案外、問屋やメーカーの説明を鵜呑みにしたり、取引業者が特定メーカーの特約店だからという理由でなんとなく勧めている場合もあります。また北陸では注文住宅が多いので比較的事例は少ないと思いますが、最初に予算ありきで、電気フィルムの床暖房を詳しい説明もなく入れられているケースもあるようです。

 

 主婦の入れたいあこがれの設備として人気のある床暖房ですが、「床暖房」ならなんでも同じではありませんので、ご注意を!

日本床暖房協会http://www.yukadanbou.gr.jp/index.htmlというサイトもあります。参考までに。

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